デュプイトラン拘縮の喫煙被害
糖尿病やアルコールの多飲との関係が知られていましたが、最近の報告では、飲酒よりも喫煙との関連のほうが強いと指摘されています。
イギルスのオックスフォード大学での222例の、手術を必要としたデュプイトラン拘縮患者の症例対照調査を行った結果、喫煙習慣によって発症リスクが2,8倍になることがわかりました。同じ報告では、AUDITスコアという慢性アルコール中毒の指標で「危険か有害な可能性が強い」とされる8点以上の飲酒状況でも、リスクは1,9倍になるだけです。
デュプイトラン拘縮とは?
手のひらや指の腱膜の肥厚と収縮によって、主として薬指や小指が次第に曲がって変形する病気です。
50〜60歳で発症することが多く、女性よりも男性の方が5:1の割合で多く発症し、その半数以上は両手におこります。
原因は不明ですが、手をよく使う職業の人や糖尿病、頚椎症などに合併しておこることが多いといわれています。
放置しておくと、結節の数と大きさが増して、連なって少しずつ手指の関節が曲がっていきます。
タバコと骨・関節の病気
喫煙は女性ホルモンの働きや分泌を阻害するとともに、骨の剛性を高めているコラーゲン線維の合成までも阻害してしまいます。
これにより骨粗鬆症の進行を早め、全身の骨折の頻度が増えます。
子供の頃から喫煙を開始している場合は、骨の成長が著しく低下し、非喫煙者の身長と比べると6〜8cm程度低くなるということも確認されています。
筋肉や関節にも喫煙は影響しており、喫煙者は関節や筋肉の柔軟性が低下して非喫煙者と比べると怪我をしやすく、血流低下によって怪我の治癒までも遅らせます。
喫煙によってリウマチ性多発筋痛症の発症リスクも増大します。
さらに喫煙による血流低下は骨折の治癒までも低下させ、偽関節を誘発してしまいます。
特発性大腿骨頭壊死や骨髄炎のリスクが上がるばかりではなく、受動喫煙による小児のペルテス病発症リスクを5倍にまで引き上げてしまいます。