解離性大動脈瘤の喫煙被害
喫煙による動脈硬化は、活性酸素による弾性線維破壊の関与が大きいです。
横浜市立大学によると、解離性大動脈瘤の患者361人の症例対照調査によって、リスクを3倍にする危険因子であることがわかり、これは喫煙が高血圧に準ずるものだと示しています。
俳優の石原裕次郎さんは、肝臓がんで亡くなる6年前の1981年に解離性大動脈瘤で倒れ、大手術を受けて奇跡的に生還しています。
この手術による体力低下によって、肝臓がんが発見されたときも切除手術は見送られたと報じられていますので、解離性大動脈瘤も死因の一旦と言えるでしょう。
解離性大動脈瘤とは?
大動脈の壁に内膜亀裂が生じて、中膜内に血液が流入し、大動脈が真腔と偽腔に分離された状態を大動脈解離といいます。
発症後2週間以内のものは急性解離といいmす。
解離はしばしば、大動脈が始まる頃から腹部大動脈の分岐部を越えて、その末梢にまで達します。
末梢側で再び解離腔と真腔とが交わり、解離腔が拡大してこぶになったものが慢性解離性大動脈瘤です。
昔は性病でえある梅毒の合併症で起こることが多かったのですが、最近では着つ年などに起因する動脈硬化にともなっておこるものがほとんどです。
タバコと循環器の病気
喫煙による体内の一酸化炭素、活性酸素、ニコチンの増加は、心臓の興奮性を高めてしまいます。
それにより、心室性期外収縮や心房細動などの不整脈のリスクを高めます。
喫煙は急性の血圧上昇を起こすほかにも、夜間の正常な血圧低下を起こしにくいノンディッパーと関係することが証明されていて、臓器への慢性血流障害の関与も指摘されています。
その中でも、喫煙による拡張型心筋症の発症率は1,39倍となっており、発症後の死亡率も通常の1,8倍にも増加してしまいます。
また、動脈硬化などのタバコ煙成分が直接作用している毒性は、糖尿病や高脂血症などとの相乗効果により、狭心症や心筋梗塞などの発症率を4〜22倍にも増加します。これは単独喫煙によるリスク増加が2倍程度なので、さらに危険であるということがよくわかります。