肺塞栓症の喫煙被害
喫煙は血液を固まりやすくさせるため、肺栓塞症との関連が指摘されています。
スウェーデンにおける男性855人×30年間の追跡調査によって、1日15g(タバコ1g=約1本)以上の喫煙による静脈性血栓塞栓症のリスク増加は2,82倍と報告されています。
筋炎話題になっているのは、航空機の狭い座席に長時間座っていて静脈血栓ができて、空港について歩き出すと同時に血栓が遊離して肺塞栓症を起こす「エコノミークラス症候群」です。
航空機内の喫煙が認められていたころには、エコノミークラス症候群予防のために機内での喫煙を控えるようにとのパンフレットが配られたこともありました。
肺塞栓症とは?
肺塞栓症とは、肺動脈がつまることをいう一般的な用語で、血栓が詰まったものを肺血栓塞栓症といいます。
その他にも、肺動脈につまるものとしては、骨折した場合の脂肪組織、がん細胞、真菌、空気、手術をしたときにできた血栓などが術後に遊離して起こることもあります。
肺梗塞というのは、肺塞栓で血流がとまり、その先の組織が壊死に陥ったものをいいます。
こうなると呼吸困難、血痰、胸痛などの症状をおこし、肺動脈の60〜70%が閉塞されるとショック死します。
タバコと循環器の病気
喫煙による体内の一酸化炭素、活性酸素、ニコチンの増加は、心臓の興奮性を高めてしまいます。
それにより、心室性期外収縮や心房細動などの不整脈のリスクを高めます。
喫煙は急性の血圧上昇を起こすほかにも、夜間の正常な血圧低下を起こしにくいノンディッパーと関係することが証明されていて、臓器への慢性血流障害の関与も指摘されています。
その中でも、喫煙による拡張型心筋症の発症率は1,39倍となっており、発症後の死亡率も通常の1,8倍にも増加してしまいます。
また、動脈硬化などのタバコ煙成分が直接作用している毒性は、糖尿病や高脂血症などとの相乗効果により、狭心症や心筋梗塞などの発症率を4〜22倍にも増加します。これは単独喫煙によるリスク増加が2倍程度なので、さらに危険であるということがよくわかります。