虫歯(う歯)の喫煙被害
喫煙すると、唾液の中の免疫抗体が減少し、細菌が繁殖しやすく成ります。
スウェーデンの診療所が共同で行った、虫歯の初発年齢である14〜19歳の男女2145人の横断調査によって、能動喫煙本数と虫歯の数が相関していることが結果としてでました。
受動喫煙によっては、免疫力の低下により子供の虫歯が増えることも報告されています。
イギリスのリーズ歯学研究所での3〜4歳の乳児769人の横断調査からは、母親の喫煙によって乳歯の虫歯が1,54倍増えることが指摘されていて、他の複数の報告でも受動喫煙と虫歯の関係が示され、さらに受動喫煙の程度と虫歯の頻度が相関しているとも報告されました。
虫歯(う歯)とは?
虫歯(う歯)は、歯の表面に沈着した食物の残りかすによってできる歯垢(プラーク)にすむ微生物が、食物中の糖分を栄養にして酸をつくり、その酸により、硬い歯が溶かされる病気です。
酸がつくられる結果、プラークの酸性度は増し、歯の表面のエナメル質のハイドロキンシアパタイトからカルシウムやリン酸イオンが溶け出してしまうことになります。
しかし、唾液には、酸を薄めたり中和したりする緩衝作用があるので、プラークの酸性は時間とともに徐々にもとの状態に回復し、一度溶け出したカルシウムやリン酸イオンは再びエナメル質に戻ってきます。
この溶出と回復の変化は、毎日の食事のたびに繰り返し起こっている現象です。
エナメル質からリン酸イオンやカルシウムが溶け出すことを脱灰(だっかい)と呼び、再度もどることを再石灰化と呼びます。
このバランスが崩れて脱灰(だっか)が再石灰化よりも亢進して歯が溶けるのが、虫歯(う歯)です。
タバコと消化器の病気
喫煙は歯周病の代表的な原因となります。
特に若い頃から喫煙をしていることにより、虫歯の数は増加しますし、受動喫煙によっても子供の虫歯が増え、血中コチニン濃度と虫歯の頻度が相関することも分かってきています。
歯肉の着色は受動喫煙児でも認められ、受動喫煙の指標となっています。
慢性咽頭炎や喉頭頭異常感症、大腸ポリープ、鼠径ヘルニア、小腸カルチノイド腫瘍などは、喫煙によって発症リスクが増大するだけではなく、治療までもうまくいかなくなります。
虫垂炎や逆流性食道炎は、喫煙による発症リスクの増加と、受動喫煙によって子供にまで影響を及ぼし発症させてしまいます。