歯周病の喫煙被害
一般の歯周病は、歯の磨き残しの起こりやすい、上の奥歯の頬側と下の奥歯の舌側がよく発生する場所です。
これに対して、喫煙に起因している歯周病は、煙が直接触れやすい上の前歯と奥歯の口蓋側がよく発症します。
若い年齢によくおこる、急激に歯肉の炎症と破壊が進行する急性壊死性潰瘍性歯肉炎は、完全なタバコ病です。
アメリカのアラパマ大学での急性壊死性潰瘍性歯肉炎患者51人及び対照群51人の症例対照調査によると、対照群の喫煙率が37%であったときに、患者群の喫煙率が94%でした。リスク比は27倍となります。
受動喫煙による免疫の低下によってもおこりやすくなります。
アメリカのノースカロライナ大学での6611人の調査によると、家庭や職場で受動喫煙にさらされている人では、そうでない人に比べて1,6倍歯周病が発生したと報告しました。
歯周病とは?
歯周病は、かつて歯槽膿漏といわれたもので、歯のまわりの、歯を支えている組織がじわりじわりと壊されていく病気です。
歯槽膿漏という言葉は、歯ぐき(歯槽)から膿がでる(膿漏)ことに由来しています。
歯周病は虫歯とならぶ歯科の2大疾患で、35歳以上の日本人で歯周病のない健康な歯ぐきを持つ人は100人に1人もいないといわれています。
歯周病ははっきりとした症状がないまま進行するために、歯がぐらぐらしておかしいと気付いたときには、すでに手遅れの状態ということも少なくありません。
このような場合、歯を支える歯周組織の大半が失われているのです。
タバコと消化器の病気
喫煙は歯周病の代表的な原因となります。
特に若い頃から喫煙をしていることにより、虫歯の数は増加しますし、受動喫煙によっても子供の虫歯が増え、血中コチニン濃度と虫歯の頻度が相関することも分かってきています。
歯肉の着色は受動喫煙児でも認められ、受動喫煙の指標となっています。
慢性咽頭炎や喉頭頭異常感症、大腸ポリープ、鼠径ヘルニア、小腸カルチノイド腫瘍などは、喫煙によって発症リスクが増大するだけではなく、治療までもうまくいかなくなります。
虫垂炎や逆流性食道炎は、喫煙による発症リスクの増加と、受動喫煙によって子供にまで影響を及ぼし発症させてしまいます。