アデノイド増殖症の喫煙被害
受動喫煙によって慢性炎症に陥ると肥大して、扁桃と同じく、睡眠時無呼吸症候群、中耳炎、いびきなどの原因になります。
小児ではもともとアデノイドは発達していますので、肥大しやすく、外科的切除の対象になります。
フランスで10〜20歳の3920人にアデノイド切除の経歴を聞いた横断調査を行ったところ、切除リスクは両親の喫煙量と相関していることがわかりました。
切除リスクは、母の1日11本以上の喫煙によって1,82倍、父の1日21本以上の喫煙によって1,93倍になりました。
さらにアメリカ、マサチューセッツ大学医学センターでの試算によると、子供への受動喫煙によって全米で毎年1万4000〜2万1000件のアデノイド切除が発生しているといいます。
アデノイド増殖症とは?
鼻の一番奥の突き当たりの部分、上咽頭と呼ばれる部位にあるリンパ組織のかたまりをアデノイド(咽頭扁桃)といいます。
口のほうから見た場合、のどの突き当たりの上方、のどちんこの裏側になるので、口蓋扁桃のように簡単に目で見て確認することはできません。
このアデノイド(咽頭扁桃)が様々な原因によって大きくなり、耳や鼻の様々な症状をひきおこす場合を、アデノイド増殖症といいます。
アデノイドは、3〜6歳ごろに生理的な増殖・肥大の時期をむかえ、その後、徐々に小さくなり、思春期のころにはほとんど痕跡状態になります。
したがってアデノイド増殖症は、子供に特有の病気といえます。
タバコと消化器の病気
喫煙は歯周病の代表的な原因となります。
特に若い頃から喫煙をしていることにより、虫歯の数は増加しますし、受動喫煙によっても子供の虫歯が増え、血中コチニン濃度と虫歯の頻度が相関することも分かってきています。
歯肉の着色は受動喫煙児でも認められ、受動喫煙の指標となっています。
慢性咽頭炎や喉頭頭異常感症、大腸ポリープ、鼠径ヘルニア、小腸カルチノイド腫瘍などは、喫煙によって発症リスクが増大するだけではなく、治療までもうまくいかなくなります。
虫垂炎や逆流性食道炎は、喫煙による発症リスクの増加と、受動喫煙によって子供にまで影響を及ぼし発症させてしまいます。