クローン病の喫煙被害
喫煙によって発症頻度が3〜5倍になり、病状悪化の頻度も上昇します。免疫異常と腸粘膜の血流低下の関与が考えられています。
スペインのミゲル・セルベート大学での103人の患者の症例対照調査によると、喫煙によるクローン病発症リスク増加は3,09倍と報告されました。
受動喫煙によってクローン病が発症した可能性があるということを示した報告もあります。
アメリカのシカゴ大学で集められた、クローン病39例を含む非喫煙の小児炎症性腸疾患患者72例からの症例対照調査によると、出生時の受動喫煙によって小児クローン病の発症リスクが5,32倍となり、炎症性腸疾患全体のリスク増加で見ても3,02倍となります。
クローン病とは?
クローン病は、1932年に、アメリカのクローン博士らによって始めて報告されたためにこの名前がつけられました。
口腔から肛門までの全消化管を冒す炎症性疾患で、ある種の肉芽腫ができるのが特徴です。
主に10歳代後半から20歳代の若年層にみられる病気で、消化管のあらゆる部分に潰瘍ができて下痢や腹痛、血便を伴います。
発症には環境因子、食生活が深くかかわっていて、動物性タンパク質や脂肪の過剰摂取によって発症しやすくなると考えられています。
日本人の有病率は人口10万人あたり約8人で、欧米に比べて少ないのですが、最近患者数が急増しています。これは食生活の欧米化で、脂肪摂取量が増加したことと診断方法が進歩したことによると考えられています。
タバコと消化器の病気
喫煙は歯周病の代表的な原因となります。
特に若い頃から喫煙をしていることにより、虫歯の数は増加しますし、受動喫煙によっても子供の虫歯が増え、血中コチニン濃度と虫歯の頻度が相関することも分かってきています。
歯肉の着色は受動喫煙児でも認められ、受動喫煙の指標となっています。
慢性咽頭炎や喉頭頭異常感症、大腸ポリープ、鼠径ヘルニア、小腸カルチノイド腫瘍などは、喫煙によって発症リスクが増大するだけではなく、治療までもうまくいかなくなります。
虫垂炎や逆流性食道炎は、喫煙による発症リスクの増加と、受動喫煙によって子供にまで影響を及ぼし発症させてしまいます。