多発性硬化症の喫煙被害
喫煙は多発性硬化症の危険因子となります。
アメリカでの看護婦のべ24万人の追跡調査を検討した報告によると、喫煙女性における多発性硬化症発症リスクは非喫煙女性に比べて1,6倍となり、喫煙量が増加するにしたがってリスクが増加したとも報告されています。
多発性硬化症とは?
多発性硬化症は原因のわからない特発性脱髄疾患の代表です。
もっとも多くあらわれるのは、視力の低下、物が二重に見える、眼球が震える、眼痛などの目の症状です。
ついで知覚障害、運動失調、運動麻痺、めまい、直腸膀胱障害、嚥下障害などがおこります。
これらの症状が強く現れ増悪期と、症状の和らぐ緩解期を繰り返しますが、症状のすべてがそろうわけではなく、緩解期には、一部の症状は消失または軽減し、ある症状は後遺症として残るというように複雑な経過をたどります。
増悪期と緩解期とを繰り返すうちに様々な症状が後遺症として残り、生活機能が失われ、知能が低下することもあります。
タバコと神経の病気
喫煙は脳卒中の主要な原因となっていますが、その中でも特にくも膜下出血での影響があきらかにされています。
脳卒中後の重大な合併症である脳血管れん縮も、喫煙によっておこりやすくなります。脳卒中のリスクは受動喫煙でも1,82倍に増加します。
喫煙は免疫不全状態の大人において真菌性の髄膜炎をおこしやすくしますが、子供においては受動喫煙が髄膜炎の危険因子になります。
受動喫煙によって細菌性髄膜炎が2,36倍になり、その内髄膜炎菌によるものは3〜8倍に増加します。