口唇裂、口蓋裂の喫煙被害
アメリカのホプキンス大学での149例の口唇裂・口唇裂患児の症例対照調査の結果、妊娠中の母親の喫煙によって、口唇裂・口唇裂患児が1,75倍に増加することがわかりました。
フランスの国立衛生研究所の161例の口唇裂・口唇裂患児の症例対照調査による結果、妊娠中の喫煙は口唇裂・口唇裂患児を1,79倍になると報告しました。
アメリカの疾病対策センターでは、妊婦の喫煙による口唇裂・口唇裂発生リスク1,35倍に増加することがわかり、喫煙量の増加に伴ってリスクが倍増することが報告されています。
口唇裂、口蓋裂とは?
上唇だけが裂けているものを口唇裂といい、唇の赤唇部から皮膚にかけて部分的に裂ける不完全唇裂、外鼻孔内までさける完全唇裂があります。
裂け目が上唇だけでなく、歯槽部にまで及んだものを唇顎裂、さらに上あごの奥の口蓋まで避けたものを唇顎口唇裂といいます。
上あごの奥の口蓋だけ裂けているのは口唇裂と言います。
いずれの場合も顔面にみられる先天異常で、多くは片側性で左側に好発しますが、両側性の場合もあります。両親のいずれかにこの異常がある場合は、子供の発生率はさらに高くなります。
タバコと妊娠・出産の関係
妊婦の喫煙、受動喫煙、受精前の父親の喫煙は、卵子や精子の染色体や遺伝子に異常を起こし、胎児の器官形成に異常を起こして様々な先天異常を発生させます。
代表的な病気には、水頭症、小顎症、口蓋裂、口唇裂、小頭症、無脳症、鼠径ヘルニア、さい帯ヘルニア、斜視、先天性斜視、尿路奇形、内反足、外反足などがこれにあたり、血管腫や皮膚異常は妊婦の喫煙によってリスクが増大します。
また、喫煙は母乳の分泌線の発達を阻害してしまい、母乳分泌不全を起こします。喫煙授乳婦の母乳には、血中の3倍のニコチンが含まれており、ビタミンC、Eが不足してしまいます。
喫煙母による母乳栄養は乳幼児突然死症候群のリスクを上昇する可能性も指摘されています。
さらに、受動喫煙によっても母乳からニコチンが検出されており、ダイオキシンをはじめとする様々なタバコ煙有害物質の混入が懸念されています。