ダウン症候群の喫煙被害
アメリカのエール大学でダウン症候群52例の症例対照調査の結果、母親の妊娠中の喫煙量と発生リスクが相関することがわかりました。
妊娠中の1日21本以上の喫煙は、ダウン症候群のリスクを1,8倍にするといいます。
アメリカの疾病対策センターやエモリー大学の共同研究によると、卵子の第2成熟分裂を起源とするダウン症症例37例の症例対照調査の結果によると、34歳以下の母親において、喫煙によるダウン症候群発生リスク上昇が2,98倍になるとわかりました。
また、受動喫煙によっても卵子の染色体分離症をおこします。
カナダのトロント総合病院では156人の女性から採取した卵子を検討したところ、染色体分離症を起こしていた卵子が、受動喫煙を受けていない非喫煙者では5,1%で、15本以上のヘビースモーカーでは21,2%に上昇する結果となりました。
ダウン症候群とは?
21番染色体に、1本過剰な染色体が存在することでおこる病気です。
大部分は遺伝することのない散発性のものですが、21番染色体の一部がほかの染色体に付着している転座例では、血の繋がった家族の中にも同じ病気の人がいて、遺伝することがあります。
かつては蒙古症と呼ばれていたこともありあすが、現在では、この病気を最初に報告したダウン博士の名前にちなんで、ダウン症候群と呼ばれるようになりました。
発生頻度は、出生1000人に1人と考えられています。
タバコと妊娠・出産の関係
妊婦の喫煙、受動喫煙、受精前の父親の喫煙は、卵子や精子の染色体や遺伝子に異常を起こし、胎児の器官形成に異常を起こして様々な先天異常を発生させます。
代表的な病気には、水頭症、小顎症、口蓋裂、口唇裂、小頭症、無脳症、鼠径ヘルニア、さい帯ヘルニア、斜視、先天性斜視、尿路奇形、内反足、外反足などがこれにあたり、血管腫や皮膚異常は妊婦の喫煙によってリスクが増大します。
また、喫煙は母乳の分泌線の発達を阻害してしまい、母乳分泌不全を起こします。喫煙授乳婦の母乳には、血中の3倍のニコチンが含まれており、ビタミンC、Eが不足してしまいます。
喫煙母による母乳栄養は乳幼児突然死症候群のリスクを上昇する可能性も指摘されています。
さらに、受動喫煙によっても母乳からニコチンが検出されており、ダイオキシンをはじめとする様々なタバコ煙有害物質の混入が懸念されています。