慢性副鼻腔炎の喫煙被害
アメリカセントルイス大学での2万人×17年間の追跡調査によると、能動喫煙による成人慢性副鼻腔炎リスク増加は1,22倍となっています。
小児副鼻腔炎については、受動喫煙に関連する報告が多数あります。
一般小児科を訪れた3000人の小児を追跡調査したヨルダンの報告によると、家庭内喫煙者のいる子供の副鼻腔炎発症率が68,8%だったのに対して、家庭内喫煙者のいない子供ではたったの1,2%だったといわれています。
これは、リスク比を計算すると59,5倍にもなり、統計的には有意であります。
さらに、副鼻腔内部に溜まった膿を排膿する内視鏡手術を行っても、動喫煙児では行った後も再発率が高いという報告もあります。
アメリカウェストバージニア大学よりの手術後追跡調査によると、術後再発の発生率は、動喫煙児では30%、非受動喫煙児では10%でした。
慢性副鼻腔炎とは?
鼻腔の周囲には、目と目の間にあって蜂の巣のような構造をもつし骨洞、その奥にある蝶形骨洞、頬にある上顎洞、額にある前頭洞といった副鼻腔という空洞があって、その内側は薄い粘膜で覆われています。
これらの副鼻腔は自然孔によって鼻腔と繋がっていますが、鼻腔は常に外気にさらされているために、感染が起こりやすい状態にあります。
人間の鼻は、このような感染が起こらないようにする仕組みをもっています。
鼻の粘膜の上には粘液層があって、細菌などの侵入を防いでいます。
しかし、鼻腔との連絡口が狭く閉塞しやすいために、かぜなどのウイルス感染によって粘膜が傷害されると抵抗性がなくなり、そこに細菌が二次的に感染し、炎症がひどくなります。
いったん生じた最近感染が自然治癒しにくく慢性炎症となります。
タバコと呼吸器の病気
喫煙者や受動喫煙者は気管支が狭窄してしまい、呼吸機能検査の数値が著しく低下してしまいます。
皮肉なことに受動喫煙にさらされている非喫煙者は、軽喫煙者と同等の機能低下をきたしています。
急性の低下は数分の受動喫煙でも起こってしまい、喘息患者などへの影響も懸念されます。
喫煙により、肺ランゲルハンス細胞肉芽腫症、好酸球性肺炎、成人呼吸促迫症候群、特発性間質肺炎など肺の間質に起こっている病気や、喉頭ポリープ、自然気胸、呼吸細気管支炎、睡眠時無呼吸症候群などの病気もほとんどはリスクが高まります。
特に、好酸球性肺炎は受動喫煙との関連も指摘されていますので、注意が必要です。