白内障(白そこひ)の喫煙被害
喫煙は日常生活における最大の活性酸素摂取ルートであり、同時に、体内で活性酸素を発生させる最大原因でもあります。
喫煙によって速い年齢で白内障が起こる可能性は高まることも知られいますが、また一方では進行が遅くなることが多くの研究によって報告されています。
アメリカのハーバード医科大学ブリガム婦人病院などで、40〜84歳の男性医師1万7824人×5年間の追跡調査を行った結果、1日20本以上の喫煙を行うと、男性の白内障発生リスクが2,05倍になることがわかりました。
同じくブリガム婦人病院などでまとめた、45〜67歳の女性看護師5万0828人×8年間の追跡調査によると、積算喫煙量65パック×年(1日喫煙箱数×喫煙年数)以上の喫煙によって、女性の白内障が1,63倍、後のう性白内障が2,59倍に増加することがわかりました。
白内障(白そこひ)とは?
水晶体は、瞳孔のすぐ置くにある組織で、カメラに例えるとちょうどレンズにあたる機能を担っている部分です。透明なので通常見えません。
この水晶体が濁ってしまうのが白内障で、カメラのレンズが濁るとファインダー像や写真の写りが悪くなるように、視力が低下してしまいます。
しかし、いきなり水晶体全体が濁るわけではなく、一部から濁り始め、徐々に他の部分に移っていき、最後に濁りが水晶体全体に広がるようになります。
水晶体全体が濁った場合は視力が低下し、著しい場合には、人がいることがわかる程度とか、目の前で手を振るとやっとわかる程度にまで視力が落ちます。視力が全体的に白っぽく、霧の中にいるような感じが特徴です。
タバコと感覚器の病気
タバコの煙成分には、視神経や網膜視細胞の機能低下や変性を起こし、タバコ弱視や暗視能力、暗順応の低下、黄斑変性症を引き起こす原因となります。
喫煙は遺伝性疾患であるレーベル病の発症リスクを増加し、血栓形成や動脈硬化に関係する前部虚血性視神経症、網膜塞栓症、網膜静脈閉塞賞のリスクを増加させます。
タバコ煙のシアン化水素や活性酸素によって、嗅細胞や味蕾細胞に変性をきたし、臭いや味を感じる能力が低下してしまいます。
喫煙の味覚に与える影響は、苦味、酸味、塩味、味味の順で大きく、臭いや味を判別できない程度は喫煙量に相関しています。
受動喫煙によって嗅覚鈍麻が起こることも実験で証明されています。