パニック発作の喫煙被害
パニック障害のある人の喫煙率が高いことはよく知られています。
喫煙がパニック発作やパニック障害を起こすリスクと、パニック発作やパニック障害が喫煙開始を誘発するリスクを分けて検討すると、前者においてのみリスクの上昇が有意で、喫煙がパニック発作やパニック障害をおこしているのだということがわかります。
米国ヘンリーフォード保健機構が、過去に行われた2つの大規模追跡調査の結果を検討したところによると、喫煙する若者ではパニック発作の発生リスクが3,96倍、パニック発作が頻発してパニック障害にいたるリスクが13,13倍にもなっています。
逆にもともとパニック障害のある人が喫煙を開始するようになるリスクは0,82倍しかないことも確認されていて、喫煙がパニック障害の原因であっても、パニック障害が喫煙の開始の原因ではないことをはっきり示している結果となりました。
パニック発作とは?
突然強い不安感や脅威・恐怖感などが始まり、まるで「破滅が目の前に迫ってきているような」状態になってしまうことです。
この発作中には、胸痛、動悸、胸部の不安感、呼吸困難、息切れなどの自覚症状があらわれます。
この時には実際に呼吸器の病気があるわけではありませんので、生命の危険は本来ありませんが、息が苦しい感じが強まると、呼吸が激しくなり、過喚起症候群(過呼吸)にいたることもあります。
この発作は、胸が強く痛む感覚に襲われることもありますので、まるで「このまま心臓が止まってしまうのではないか」という不安にとらわれてしまうと「心臓神経症」と呼ばれることもあります。
発作があらわれた場合は、「このまま死んでしまうのではないか?」という強い恐怖感が伴うことがありますので、救急車で病院に駆け込んでくるケースもあります・が、周囲の人間が一緒になって不安になってしまうと、本人はますます不安を強めてしまいます。
こういった発作があわられた場合は、あわてることなく、本人の身体や手を押さえてあげるなどして安心感を与えるようにしましょう。
タバコと精神病
タバコに含まれる「ニコチン」は、脳のシナプスにおいて神経伝達に成り代わり、神経回路を誤作動させて薬理作用を発揮します。
ニコチン依存症に陥ると、このシナプスが過剰反応に慣れて機能低下を起こし始めます。
こうなってしまうと、脳はニコチン無しでは神経回路が正常に機能しなくなり、深いな離脱症状をおこしますが、ニコチンが離脱症状が解消されるからといって、これをニコチンの効用とは呼べません。
ニコチンのない状態を続けると、シナプスは通常通りの機能が改善されます。